自律神経の乱れ — 検査では異常なしなのに、体の不調が続くとき
座っているだけなのに、心臓がドキドキする。手足は冷たいのに、顔だけがほてる。胃がもたれて、夜は疲れているのに目が冴えて眠れない。思い切って病院で心電図や血液検査を受けたのに、「特に異常はありませんね」と言われる。ほっとする反面、じゃあこのつらさは何なんだろう、と余計にもやもやしてしまう。
そんなときによく耳にするのが「自律神経の乱れ」です。気のせいでも、気持ちが弱いからでもありません。体の自動調整のしくみが、うまくバランスを取れなくなっている状態です。
まず、こんなときはすぐ受診を
- 胸を締めつけられる痛みが数分以上続く、または腕・あご・背中に広がる → すぐに119番
- 息が苦しくて話し続けられない、唇が紫色になる → 119番
- 立っているときに意識を失って倒れたことがある
- 動悸と一緒に、理由なく体重が減る、暑がりになる、手が震える
- 症状が出てから、一度も病院で調べてもらったことがない
自律神経の不調に見える症状の中には、心臓や甲状腺など別の原因が隠れていることもあります。「自律神経のせいだろう」と決めつける前に、内科で基本的な検査を受けておくのが順番です。異常がないと分かっていれば、次に症状が出たときの怖さも少し和らぎます。
自律神経がしていること
自律神経は、意識しなくても勝手に働いてくれるしくみです。心拍、呼吸、体温、消化、汗、睡眠まで、すべてここで調整されています。大きく分けて二つが、シーソーのように動いています。
- 交感神経 — アクセル役。緊張したときに心拍を上げ、筋肉をこわばらせ、消化をいったん止める
- 副交感神経 — ブレーキ役。休む・食べる・眠るときに心拍を落ち着かせ、体をゆるめる
元気なときは、この二つが場面に合わせて交互に働きます。ところが緊張が何か月も続くと、アクセルが踏まれたまま固まってしまう。休むべきときにも、ブレーキがうまくかからなくなるのです。
よくある症状
一か所だけでなく、あちこちに移りながら出てくるのが特徴です。いくつも重なっているなら、自律神経の乱れを疑ってみてもいいかもしれません。
- 理由もなく動悸がする、脈が速くなる
- 深く息が吸えない、ため息が増えた
- 手足は冷えるのに、顔や上半身がほてる
- 急に汗が出る、または逆にほとんど出ない
- 胃もたれや胸やけが多く、便秘と下痢をくり返す
- 立ち上がったときにふらつく、目の前が暗くなる
- 疲れているのに寝つけない、夜中に何度も目が覚める
- 肩や首がいつもこっていて、頭痛が多い
- 耳が詰まった感じや、のどに何かつかえている感じがある
症状がばらばらなので、内科、耳鼻科、消化器内科と病院を回ることになりがちです。どこでも「異常なし」なのに体はつらいまま。疲れてしまうのは当然です。
バランスが崩れやすいわけ
- 長く続くストレス — いちばん多い原因です。大きな出来事ひとつより、小さな緊張が休みなく何か月も続くほうが崩れやすい
- 乱れた睡眠リズム — 夜勤、寝る直前までのスマホ、休日の寝だめ。自律神経はリズムが好きなのに、それが毎日揺さぶられる
- カフェインとお酒 — コーヒーはアクセルを踏み、お酒は一時的にブレーキをかけたように見えて、明け方にまたアクセルを踏む
- 体を動かさない — 一日じゅう座っていると、緊張をほどく機会がない
- 季節の変わり目 — 寒暖差が大きい今の時期は、体温調整で自律神経が忙しくなります。季節の変わり目に不調が強くなる人は多いです
今日からできる整え方
- 息を長く吐く — 四つ数えて鼻から吸い、六〜八つ数えて口からゆっくり吐く。吐く息が長いと、ブレーキがかかりやすくなります。一日数回、五分ずつ
- 起きる時間をそろえる — 寝る時間より先に、起きる時間を一定に。休日も一時間以上ずらさない
- 朝の光を浴びる — 起きたら窓際や外で光を浴びると、一日のリズムが戻りはじめます
- コーヒーは午後二時まで — 動悸が強い日は一日やめてみる
- 軽く歩く — 少し息が上がるくらいで二十〜三十分。いきなり激しい運動は心拍をさらに上げるので、少しずつ
- ぬるめのお風呂に浸かる — 熱すぎるお湯はかえってアクセルを踏みます
- 立ち上がるときはゆっくり — ふらつく人は、立つ前に足首を何回か動かし、水分をこまめにとる
こうしたことは、一日二日で劇的には変わりません。固まったシーソーがまたなめらかに動くまでには、数週間かかります。効果をすぐ感じなくても、もう少し続けてみてください。
病院ではどう診てもらえる?
基本の検査で異常がないのに症状が続くなら、自律神経の検査をしているところもあります。心拍がどれくらいしなやかに変化しているか(心拍変動)を測って、アクセルとブレーキのどちらに偏っているかを見る検査です。心療内科や内科で相談できます。
動悸や息苦しさが突然押し寄せて、「死んでしまうかも」と感じたことがあるなら、パニック発作が重なっている可能性もあります。その場合は心療内科や精神科がいちばんの近道です。心が弱い人が行く場所ではなく、体の緊張反応を一緒に見てくれる場所だと考えてください。
検査で異常がないということは、体が壊れているのではなく、長いあいだ緊張したまま踏ん張ってきたということでもあります。体は先にサインを出していたのかもしれません。何がそんなに張りつめさせているのか、知っている人には言いにくいなら、誰も自分を知らない場所に書き出してみるのもひとつの方法です。言葉にして外に出すと、ほんの少し肩の力が抜けることがあります。
ひとりで抱えてきたことがあるなら、名前を出さずに書いてみるのもひとつの方法です。
つらさが続くときは、ひとりで抱えないでください。
いのちの電話 0570-783-556 · #いのちSOS 0120-061-338