失恋から立ち直れない、忘れられないとき
別れてからもう何ヶ月も経つのに、一日に何度もあの人のことを思い出す。まわりからは「そろそろ切り替えたら」と言われはじめて、その言葉が慰めより責められているように聞こえる。そういう時期があります。
ただ、立ち直るのに時間がかかるのは、気持ちが弱いからではありません。人ひとりがいなくなると、毎日の組み立て方そのものが崩れるからです。
なぜこんなに長引くのか
付き合っているあいだ、その人は気持ちの向き先であると同時に「一日の初期設定」になっていました。朝起きて送るLINE、帰り道の通話、週末の予定、何かあったときに最初に開くトーク画面。別れるというのは、その設定が一度に消えるということです。
だから別れた直後に来るのは、悲しみよりも先に「手持ちぶさた」であることが多いです。面白いものを見ても送る先がない。スマホを開いて、開いた理由を忘れて閉じる。これが一日に何十回も起きるので、頭で決心しても体のほうが前の習慣を出し続けます。
かかる時間も人によってまったく違います。付き合いが長いほど、一緒に作った日常が細かいほど、別れが突然だったほど長くかかります。三ヶ月で戻る人もいれば、一年経ってもふとした瞬間に崩れる人もいます。人より遅いからおかしい、ということはありません。
立ち直りは、まっすぐ進まない
きれいに右肩上がりで良くなるものではない、と先に知っておくと少し楽になります。だいたいこういう順番をたどります。
- 実感がない時期。別れたことは分かっているのに、どこか他人事で、自分でも驚くほど平気に見えます
- 遅れて来る時期。数日から数週間あとに来ます。曲一つ、通り慣れた道で急に崩れます
- 巻き戻す時期。「あのとき、ああ言わなければ」と場面を何度も再生します。いちばん消耗する時期です
- 薄まる時期。思い出さなくなるのではなく、思い出しても一日が壊れなくなる状態です
順番どおりにも来ません。良くなってきたと思った週に、二段階ぶん戻る日が必ずあります。それは失敗ではなく、もともとそういう形をしています。
気をつけたほうがいいサイン
悲しいことと、生活が止まってしまうことは別です。次のような状態が二週間以上続いているなら、ひとりで耐えるより誰かに見てもらったほうがいいです。
- ほとんど眠れない、または一日中横になってしまう
- 食事を抜き続けている、体重が目に見えて変わった
- 仕事や学校、家のことにまで手がつかなくなった
- お酒の量がはっきり増えた
- 自分がいなくなったほうがいい、という考えがよぎる
夜になると考えが止まらなくて眠れないなら、「夜になると考えすぎて眠れないのはなぜか」のほうも読んでみてください。最後の項目がよぎったことがあるなら、それは失恋だけの話ではなくなっているサインです。下の相談先は年中つながります。
今日からできること
- 連絡先や写真は、消すより「しまう」。勢いで全部消すと、あとで後悔がもう一つ増えます。別のフォルダに入れて非表示にするだけで十分です
- SNSはブロックではなくミュートに。ブロックは相手に伝わって駆け引きになりますが、ミュートは静かに見えなくなります。冷たいのではなく、毎日きずを開き直さないためです
- 空いた時間に別の予定を置く。いちばん崩れるのは、前に通話していた時間帯です。そこに散歩や運動、短い電話を先に入れておきます
- 気持ちより先に体を整える。決まった時間に寝て一食きちんと食べるほうが、気合いを入れ直すよりずっと早く効きます
- 送りたい長文は、書いて送らない。深夜に書きたくなった文章はどこかに書き出して、送らずに置いておく。書くだけでかなり抜けますし、朝に読み返すとたいてい送らなくてよかったと思います
かえって長引かせてしまうこと
- 相手のSNSを見に行く。一日一回でも、そのたびに最初の地点まで戻ります。確かめても気は晴れず、気になることが一つ増えるだけです
- 「友だちに戻ろう」を受け入れる。整理がついていない段階での友人関係は、たいてい待っている側だけが削られます
- すぐ次の恋愛を始める。その場はまぎれますが、片づいていない気持ちは新しい相手の前で出てきます。相手にも申し訳ないことになります
- お酒で流す。その晩は越えられても、翌日の気分はさらに下がります
- 平気なふりをする。まわりは安心しますが、自分の中にはそのまま積もります
話す相手が見つからないとき
失恋の話は、二回目くらいまでは友だちも聞いてくれます。そのあとは同じ話をまた出すのが申し訳なくなって、いちばん長く残る気持ちほど行き場がなくなります。職場や大学で顔を合わせる相手だと、誰に話しても巡りそうで、最初から言えないこともあります。
立ち直るというのは、あの人を完全に忘れることではありません。思い出しはするけれど、それで一日が壊れない日が増えていく。それだけです。今そうなっていなくても大丈夫です。遅れているのではなく、まだ途中というだけです。
ひとりで抱えてきたことがあるなら、名前を出さずに書いてみるのもひとつの方法です。
つらさが続くときは、ひとりで抱えないでください。
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